タレントで俳優の伊東四朗が3日、文化放送のラジオ番組『伊東四朗 吉田照美 親父・熱愛』に生出演した。放送終了後には同局内で報道陣の取材に応じ、来年6月15日をもって芸能界を引退することを発表してから初めて、公の場で現在の心境を語った。

伊東は来年6月15日に90歳を迎える。約70年にわたって第一線を走り続けてきたが、その節目をもって長い芸能生活に幕を下ろすことを決断した。

放送を終えた伊東は、局内に集まった約40人の報道陣を見た瞬間、「うわー、驚いた。有名人になったみたい」とひと言。長年にわたりテレビや舞台、映画、ラジオで親しまれてきた大ベテランらしからぬ、飾らない言葉で周囲を和ませた。

写真撮影ではコミカルなポーズも披露。「そんなに惜しまれることないと思ってましたから、すんなりいくと思ってたらこんなに……」と驚きを明かし、「なんだか、撤回しようかな」と冗談を飛ばして笑いを誘った。

引退発表後の取材でも、軽妙な受け答えと自然体のユーモアは健在だった。

約70年に及ぶ芸能生活で最もうれしかったことを尋ねられると、伊東は「給料もらえたこと」と即答した。

1958年に劇団「笑う仲間」から勧誘を受け、芸能界入り。当初は弟子として参加したため、報酬を得られるとは思っていなかったという。

それでも給料として4000円を受け取り、舞台中継が入った際には800円の出演料も支払われた。「1日やっただけで800円ですよ。こんな嬉しかったことはないですね」と、駆け出し時代の喜びを振り返った。

華やかな受賞歴や代表作ではなく、初めてもらった報酬を大切な記憶として挙げたところにも、伊東の仕事に対する実直な姿勢がにじんでいる。

引退後にやってみたいこととして語ったのは、テニスだった。

伊東は55歳から75歳までの20年間、テニスを続けていたといい、「もう1回テニスをやってみようかな。やろうと思えばできる気がする」と意欲を見せた。

さらに、引退する錦織圭選手になぞらえて「『にしごり』って名前でやろうかな。全米オープン行ってみようかな」と発言。ここでも伊東らしい冗談で報道陣を笑わせた。

最後に「本当にやめるんですか?」と改めて確認されると、「やめることをやめることはない」ときっぱり。引退を撤回する考えがないことを明確にし、「いいじいさんになろうと思ってます」と穏やかに語った。

俳優として数々の作品に出演し、コメディアンや司会者としても幅広い世代に愛されてきた伊東。引退の日まで、どのような姿を見せてくれるのか。最後まで変わらぬ“伊東節”とともに、その歩みが注目される。